第3回ペットジャパン探険隊が行く
 今回は、新聞のひとつの小さな記事から始まった探検!
新聞コラムに載っていたペットに夢中なエグゼクティブを訪ねる!
 

■それは新聞記事から始まった

 4月10日、何気なくパラパラと新聞をめくっていたら、小さなコラムに目が釘付けになった。

 そのコラムは日本経済新聞の朝刊社会面の「消息あの人この人」。日商岩井常務の堀龍兒さんが、愛犬に夢中で「趣味が高じてこのほど、建築家の黒川紀章さんらと動物と人間との関係を考える「日本ヒューマン・アニマル・ボンド学会」を設立」とあるではないか!

 ん? アニマル? ボンド? ペットジャパン<見たい!聞きたい!調べ隊>としては、この事実を知って、そのままほおっておくことはできない。

 さっそく日商岩井の広報室に連絡をとり、この堀さんに話を聞くことができた。

 
■気がついたらマキシにゾッコン

 4月に移転したばかり。東京の新名所お台場にある日商岩井の本社ビル。回覧車をのぞむ側に堀さんの部屋はあった。移転のお祝いの花々が並ぶなか、ひょいっと目をやると白い壁に、愛くるしい愛犬のヨークシャーテリア・マキシ(Maxi)くんをカラー出力したA4紙がペラリと貼ってある。

 その壁から3mほど離れたところに、堀さんのデスクが配されている。つまり、仕事をしながらふっと顔をあげたり、電話をしながら壁を見やると、真正面にマキシくんがそこにいる、とあいなるのである。

 愛犬に夢中の堀常務さん。法務担当常務取締役という名刺の文字にたがわぬ、厳格な印象を受ける面立ちなのだが、それがマキシくんのこととなるともう目尻は下がりっぱなし。

 
■クリスが天国に召され「もう二度と犬は」が、いつのまにか

 もともと犬を飼いたいと言い続けていた奥さんが、ひょんなことから、生まれて2カ月のヨークシャーテリアをもらってきたのが89年のクリスマス直前。幼いころに飼っていた犬が死んでしまって悲しい思いをした経験を持つ堀さんは、「犬はだめ、返してきなさい」と反対した。

 ところが、「返すなんて無理」と日々が過ぎていき、奥さま滋子さんの事後承諾作戦は成功。クリスマス直前にやってきた「クリス」ちゃんは、堀家の一員となり「そのうちに、気がついたら僕がぞっこんになっちゃったんですよ」。

 残念なことに、クリスちゃんはあまりからだが強くなかったようで、8歳のときに天国に召されてしまった。「もう2度と飼わない」と心に固く決めたが、また、ひょんなことがきっかけで、またクリスちゃんゆかりのブリーダーさんから、マキシくんを譲り受けることとなった。

 それからというもの、もう堀さんは「マキちゃん」に首ったけ。手帳にはマキシの写真を入れていつも持ち歩き、出張で出かけて、街で犬を見かけると、マキシに想いを馳せるというメロメロぶり。

 
■旧交を深めた恩師、ある日、ペットの話で盛り上がり

 クリスちゃんが堀家にやってきたころ、旧交を深めていた大学時代の恩師、民法学者・椿寿夫氏と、飼い始めた犬の話をしたのがきっかけで、椿氏も大の犬好きということを知り、以来、椿氏と愛犬談義に花を咲かせるようになった。ペット関連の法律についての書籍を出版する話も持ち上がった。

「長いつきあいでしたが、犬の話なんてしたことがなかったから。椿先生が犬好きとは、そのときまでまったく知らなかったんですよ」。

 実際に出版するまで時間はかかったが、恩師の椿氏、堀さん、そして、愛猫家の吉田眞澄氏と共著で、97年春に『ペットの法律全書』有斐閣選書を出版することとなった。犬を飼ったことから、ペットに関わるネットワークが広がった。ペットと共生できる社会づくりにも興味を持ち始めた。

 ホテルに泊まるときは、ペットがOKかどうかを前もって電話で確認するようにもなった、「サービスをする側の考え方を変えるためには、一人一人の具体的な行動が重要ですよ。ペットと一緒に暮らすこと、出かけることがもっと自然な社会になるといいですよね」

 そして、知人の紹介で、(社)日本動物病院福祉協会の加藤元氏と出会い、<ヒューマン・アニマル・ボンド>という考え方に賛同し、昨年10月24日、「日本ヒューマン・アニマル・ボンド学会」を設立、その発起人になったという。

 〜学会と、難しそうな名称だ。渡された資料に目を通すと、なにやら「人間と動物の相互作用を」科学する会だというふうに書いてある。発起人には、哲学家・作家の梅原猛氏、建築家の黒川紀章さんほか医学者、脳科学者、霊長類学者、心理学者、芸術家、福祉学者、精神医学者、教育学者、法学者、獣医学者とそうそうたるメンバーが並んでいる。

 ウーン。科学する? いったい、この学会は何をしようというのか。

 さっそく、「日本ヒューマン・アニマル・ボンド学会」の加藤元会長を訪ねることにした。

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(2001.05.02)