Vol.18
 
 
●老犬が織りなすファンタジー

 主人公のシローは、年老いた盲導犬。飼い主である元ボクサーのゴングと、平和な日々を過ごしていました。
 しかしある日、酒に酔ったゴングは信号を無視し、トラックにはねられ即死してしまいます。

 残されたシローは、ショックで食事もとれないありさま。そんなとき、死んだはずのゴングが「天国へ行くには、ひとつ善行を施せって神様が言うんだ。だから、おまえの願いを叶えてやるよ」と現れたのでした。
 シローの願いはただ一つ“人間の姿になって、幼犬時代にかわいがってくれた、あの家族に会いたい”。

 ゴングのはからいで、シローは人間の姿になり、家族のなかでも一番の仲良しだったひとり娘のハルカに再会。彼女は昔、一緒に夜空に輝くシリウスを見ながら「あの星、外国ではドッグスター、犬の星って言うのよ」と教えてくれた人でした。

 シローは美しく成長した彼女と次第に親しくなり、やがて戸惑いながらも惹かれ合っていきます。
「おまえは、老犬。もう先は長くないんだ。そんなおまえが、あの子を幸せにできるのか?」とゴングに諭されても、ハルカの側を離れられないシロー。そんな彼の前に突然、刑事が現れて……。

 
●人間と犬の強い絆が胸を熱くする

 盲導犬は通常、生後約2か月の頃、パピーウォーカーと呼ばれる子犬育成ボランティアの家庭に預けられます。この映画でも、ハルカの家族はパピーウォーカーとして、幼犬時代のシローを育てました。

 そして1歳になるまで、ここで愛情をたっぷり注がれ、基本的なしつけや社会性を身につけるのです。その後約1年間、訓練施設でトレーニングを受け、適性があると判断された犬だけが、盲導犬として活動します。

 盲導犬は約8年、飼い主をサポートし、約10歳で引退。その後はリタイアウォーカーと呼ばれるボランティア家庭で、のんびり余生を送るのが一般的です。

 盲導犬は、何度も主人を替えることになりますが、いつも人の愛情に包まれ、犬の中でも特に幸せな一生を送ると言われています。

 しかしそれでも、やはり子どもの頃、大切に育ててくれた人たちは格別。それは何度恋をしても、初恋の相手は忘れられないというのに似ているのかもしれません。

 映画の中でシローは、ハルカに「あなたの家族は、みんな幸せ?」と尋ねます。うなずく彼女を見て、シローは「よかった!」と、突然走り出します。その姿は、まるで大喜びしている犬。そんな場面からも、人間と犬の強い信頼関係と愛情が伝わってきます。

 

●盲導犬のOG、現役、候補生が活躍

 この映画のプロデューサーは、大の犬好き。長年犬を飼っていて、並々ならぬ愛情を持っている人物です。

 最初、この映画はペットショップで働く女性のラブストーリーの予定でした。しかし監督はプロデューサーが熱く犬について語るのを聞き、今回のストーリーに変更したとか。

 撮影にあたり、最も犬のシローとの共演場面が多いゴング役の石橋凌さんは、シロー役の犬と仲良くなるために足しげく盲導犬の訓練センターに通ったといいます。その成果は、映画を見れば一目瞭然でしょう。

 また人間になったシローを演じるのは、豊川悦司さん。クールなイメージが強い彼が、鼻をピクピクさせて臭いを嗅いだり、ハルカの自転車を追って人間離れした(?)走りをするかわいくてコミカルな犬ぶりも、大きな見どころです。

 犬のシローは、ラブラドール・レトリーバーが演じました。トヨエツの本当の姿という役どころですが、ワンコたちは全員女の子。4頭の成犬と2頭の子犬が出演しています。

 成犬のラブとルックは、共に今年10歳。盲導犬としての活動を終え、今はリタイアウォーカー宅で、のんびり過ごしています。

 8歳のサリーは、現役の盲導犬。2歳のバランスは現在、盲導犬になるためのトレーニングをしています。

子犬たちは、2頭とも1歳。今年の初夏から、訓練センターに入所する予定です。
 映画で名演技を見せてくれたワンコたちは、今後も人間たちのために、活動してくれることでしょう。

文・児玉伸子
 

■DOG STAR(ドッグ・スター)

監督 瀬々敬久
出演 豊川悦司、井川遙、泉谷しげる、石橋凌 余貴美子
配給 東京テアトル、オメガ・ミコット
公開 2002年4月27日よりテアトル タイムズスクエアにてオープニング・ロードショー
オフィシャルHP http://www.dog-star.jp/
 
素敵なパンフレットを5名様にプレゼント!!
〆切は2002年4月30日。
なお、当選者は5月9日に
HP上で発表しますのでお見逃しなく!

応募はこちらへどうぞ
 
(2002.04.11)