アンコちゃん&ムギちゃんも「ハイ、チーズ!」
撮影/北原薫 取材・文/児玉伸子
 
●病弱で“3カ月の命”といわれた長女が今や

 テレビでお馴染み、根本りつ子さんの愛猫は、10歳のコバンちゃん、7歳のアンコちゃん、そして4歳のムギちゃん。ともにスコティッシュ・フォールドの女のコです。3匹に血縁関係はありませんが、まるで本当の姉妹のような仲のよさ。取材当日は、次女のムギちゃんと、末っコのムギちゃんを連れてきてくれました。

 昔から動物好きな根本さんは、実家でスピッツとミックス犬を飼っていたとか。

 飼いやすさを考えて、今度は猫と暮らしたいと思っていたころに、ステキな出会いがありました。
「私の誕生日に、子猫をプレゼントしてもらたったんです。ちっちゃくて、ふわふわしていて……。ひと目で気に入りました」

 さっそく“猫に小判”の諺から、コバンちゃんと命名。楽しい生活が始まりました。でも、たったひとつ、気になることがありました。それはコバンちゃんの健康状態。


「ムギは、“命”のポーズができるんですよ」
「生まれつき食が細くて、時々全身を震わせて発作を起こすんです。可哀想で、見ていられません。獣医さんには、“3か月の命”と言われ、大ショックでした」。

 しかし根本さんはあきらめず、獣医師の指示を通りに薬を飲ませ、コバンちゃんを励まし続けました。そして、その努力が実って、コバンちゃんは少しずつ元気になっていったのです。そのコバンちゃんも今や10歳。根本さんの熱心な健康管理と愛情が、コバンちゃんに生きる力を与えたのでしょう。

●お姉ちゃん思いのアンコちゃん


愛くるしい瞳は、スコティッシュ・フォールド
の大きな魅力
 3年後、もうひとり(?)欲しいな、と思い、ペットショップで出会ったのが、同じスコティッシュのアンコちゃん。
同じ猫種を選んだのは、
「スコティッシュは耳がたおれているでしょ。これが、何とも言えずかわいいんですもの。うちには、耳がたおれていないコもいるけど。でも、それもよしとしましょう(笑)」

 さらに、ペットショップに何匹もいるスコティッシュ・ホールドの中からアンコちゃんを選んだのは、理由がありました。
「まず、コバンと同じ、女のコがいいなって、思ったんですね。あと、猫同士にも、相性ってあるでしょ。ですから、お店の人にお願いして、何匹かをコバンに会わせてみたんです。そうしたら、アンコは最初からとてもいい感じ。物怖じせず、人なつこいし、もうこのコだわって決めました」

“アンコ”の名は、彼女が甘党だからつけたとか。「いたずらのつもりで、ドラ焼きをあげたら食べたんです。それで“アンコ”。彼女は生クリームやアイスクリーム
が大好きなんです」

 一緒に暮らし始めたら、アンコちゃんはコバンちゃんにべったり。子猫の頃は、お姉ちゃんのおっぱいを吸って、甘えている姿もよく見かけたといいます。

「ある日、発作を起こしてで苦しでいるコバンを、アンコが抱きしめるように押さえていたんです。その姿を見て『アンコ、なんてやさしいコなの』と胸が熱くなる思いでした」
 いつもやさしくしてくれるお姉ちゃんを、必死でいたわる妹……人間の姉妹愛と同じです。その様子を思い浮かべたのか、根本さんの目にはうっすらと涙が浮かんできます。

 そしてまた3年後、ムギちゃんが登場します。今回も前もって相性を確認していたので、3匹とも最初からずっと仲よく暮らしています。ムギという名前には、“麦のようにたとえ踏まれても、強く生きて欲しい”と願いが込められています。

「長女は気品があって、物に動じない。体が弱いせいか、達観したところがありますね。次女はやさしくて、頭がいい。たとえば私がキッチンに行くとついてきて、誰の食事の用意が見にくるんでる。自分たちのでないとわかると、すぐどこかへ行ってしまうの(笑)。どうしてわかるのかしら? 賢いでしょっ?。そして末っコは甘えん坊。体が柔らかくて、よく不思議なポーズを取っています。みんな個性的で、かけがいのないコたちですね」

●根本さん、ベランダ事件でアクション俳優に転向!?

 三姉妹は、ほとんどの時間を家で過ごす箱入り娘。もちろんケガをしたり無断外泊をしたりして、根本さんに心配かけたことはありません。

「以前、一緒に散歩しようとして、驚いたことがありました。当時、猫の部屋には、カーペットを敷いていたんです。その感触に慣れているものですから、アスファルトの道では、すべってしまってタイヘンでした(笑)」
 ちなみに今は、フローリング。猫の毛が自然とへやの隅に集まるので、掃除がラクだとか。

 また、こんなこともありました。夜になって、根本さんがマンションに戻ると、コバンちゃんがいません。おかしいな、と思うと、ベランダづたいにお隣に行ってしまったようです。

「呼ぶと声がするんですけど、こっちへ戻って来れない様子。お隣は会社なので、その時間は誰もいらっしゃらない。困ってしまいました」

アンコちゃんは、甘い物が大好き
 どうしようかと思っている間も、か弱い鳴き声が聞こえます。

 そこでかわいいコバンちゃんのために根本さんは決心しました。隣室のベランダに行くことにしたのです。非常事態だし、隣の方とは顔なじみということもあり、翌日無断で入ったお詫びをしようと決めました。

「ベランダの柵によじのぼって、境界の壁を越えて行きましたよ(笑)。当時、私の部屋は4階だったので、足を滑らせたらたいへん、と必死でした」

 まるでスパイ映画のようです。しとやかなイメージが強い根本さんのアクションシーン、ちょっと想像できません。でもその思い切った行動のおかげで、コバンちゃんを無事保護できました。

●3姉妹の写真をいつもミニアルバムに入れて


ムギちゃんのブチは、とてもチャーミング
 地方公演などで家を留守にするときには、三姉妹はいつも知り合いに預かってもらいます。
「慣れているお宅なので、元気にしているとわかっていながら、電話で様子を聞くのが楽しみなんです」

 旅先からの電話だけでなく、根本さんはいつも3姉妹の写真をミニアルバムに入れて持ち歩くという溺愛ぶり。写真の枚数はご自身のものより、はるかに多く、何度見返しても、かわいくて飽きないとか。

 根本さんにとって、この3姉妹は愛情のすべてを注げる大切な存在です。
「大切な家族です。姿を見るだけで心がなごみ、元気をもらえるんです。気持ちを察してくれ、なぐさめてもらうことも多いですよ」

また、テレビに猫が出てくるたびに、
「あら、うちのコのほうが。かわいいわ、って思うんです(笑)」と、ちょっとおどけて話す根本さん。三姉妹の話になると、一層やさしくなるその笑顔から、深い愛情と、3匹とのいい関係がうかがえるインタビューでした。
 
 
根本りつ子 さん ねもとりつこ さん
1982年、テレビ小説「女・かけこみ寺」のヒロインに選ばれて、デビュー。以来、「大岡越前」「おやじのヒゲ」(とにもTBS系)をはじめ、数々のドラマや舞台で活躍。フルマラソン5回出場、剣道初段、ゴルフ歴は10年以上という、スポーツウーマンでもある。
(2001.11.15)