公園で子猫を拾って世話をし始めたら、その猫には飼い主がいてやむなく返すことに・・・・・・。
「猫が飼いたい」と思いをつのらせた中島さんは、ある日、大阪ミナミの黒門市場で一匹の子猫、とらちゃんと出会い、この時から、事務所兼臨時ねぐらとしている民家の1階で、中島さんの日常が一変します。
ある時は「オレは猫を飼うに値しない人間だ。来し方の悪行を考えるとそう思う。猫を飼うことでおれは一種のみそぎをしているのではないか。」というせりふを吐き、ある時は、猫とは、ある種の距離を保とうと言いながら、中島さんの、子猫の下僕としての暮らしが続いていきます。
事務所があるのは、中島さんの相棒のわかぎゑふさんの家。二階には、わかぎゑふさんのお母さんが住んでいて、このお母さんが大の猫好き。
二階のお母さんと「とらちゃん争奪戦」を繰り広げたり、東京のホテルで「とらちゃん、どうしているだろう」と想いをはせたり。とらちゃんは、そのあどけなさ、かわいさ、ネコらしさで、中島さんの日常の暮らし、さらに。中島さんの心に入り込んでいきます。
中島さんの人となりはもちろんですが、とらちゃんを介して繰り広げられる、周りの人たちの人間模様、新しく加わった片足のライバルふくちゃんとのエピソード、随所に挿入された愛らしいとらちゃんの写
真が、この本の魅力となっています。 |

『とらちゃん的日常』
中島らも 著 文芸春秋
発行本体1429円+税
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