猫たちの言葉「キャット・ランゲージ」を理解したい、と愛猫家なら誰もが思うだろう。このコーナーの最後を締めくくる「特別講座」の講師は、動物行動学をふまえた猫の解説書やエッセイなどで愛猫家から絶大な支持を得ている加藤由子さん。キャット・ランゲージのカリスマはどのような見解を持っているのか!?
文・加藤由子

●超難解ランゲージは普段の鳴き声と尾の動き

どんなに本を読んでもわからないのが、普段の鳴き声と尾の動きが表す言葉だ。なぜ、わからないのか? それは、これらがメチャ微妙、かつ猫によって皆 違うからである。わかろうと思うなら、今飼っている猫にベッタリとくっつき日々のつきあいを濃密にし、その経験をもとに「うちの子の場合はこう」と独自に積み上げていくしかない。要するに「わかりたい!」という執念と努力ゆえの試行錯誤がいつか解読可能にしてくれる、究極のキャット・ランゲージというわけなのだ。


●鳴き声を理解するには不満解消努力から

満足しているときに鳴き声を出す猫は、まずいない。普段の「ニャアニャア」は、何か不満のある証拠。かといって大した不満ではない。「オシッコがもれそう」とか「そこをどいてくれ」とか「ちょっとだけ抱っこして」とか、ま、その程度。ただし不満の内容によって鳴き方は微妙に違う。さらに猫それぞれでも微妙に違うからマニュアルはない。

理解するには、「何を望んでいるのか」を考え、「これかな?」と思える不満を次から次へと解消してみて、ついに猫が鳴き止んだときに、「おぅ、これだったか」と不満内容と鳴き方のバージョンを結びつけ、理解可能な言葉として蓄積していく以外に方法はない。頭も使う、時間も使う、体力も使う。だが、それが努力と執念と試行錯誤ということなのだ。一朝一夕にできることでは決してない。


●言葉が定着すれば理解するのは楽になる

不満内容と鳴き声バージョンが連動したら、以後、常に猫の鳴き声に正しく応えることを忘れてはならない。鳴き声に飼い主が正しく反応すれば猫はその後、その"言葉"を頻繁に使うようになり、その言葉は猫の中で目的と連動して定着する。そして定着すればするほど、わかりやすい言葉としてコミュニケーションが可能になる。
 


 ●仙人の心で観察するべし

尾の動きも同様に微妙でマニュアルを作るなど至難の業。尾の動きと状況を真剣に冷静に観察しながら、自分なりのマニュアルを作っていこう。だんだんと猫が何を考え何を感じているのかが、わかるようになってくる。ただし真っ白な気持ちで観察することが重要だ。思い込みは観察の目を濁らせる。

尾が表す言葉がわかるようになったころ、飼い主はほとんど仙人のような心を会得していることであろう。たかが猫、されど猫。猫の言葉を理解するのは精神修養でもあるのである。健闘を祈る!

■加藤由子…
大分県出身。日本女子大で動物行動学を専攻。現在は動物ライター・エッセイストとして哺乳類全般を手がけるが、猫を扱った著書が圧倒的に多い。『雨の日のネコはとことん眠い』『うちの猫にかぎって』『おとなの猫になれる本』『あなたの猫の偏差値は?』など、行動学をベースとした確かな観察眼で語られる独特の「猫話」は猫好きなら誰もが納#CCFFCC得し、そして楽しめるはず。